5 論理的ディスコースのダイナミズム くまきち
<エディソンと文章読本>
西欧社会が長い間持っている思考
合理的
論理的
抽象的普遍性
神秘的なものへの対立
西欧社会の伝統
ギリシャ哲学(抽象的普遍性、形式性)→プラトン(神秘的なものへの対立、合理性)→ローマ時代のローマ法(論理的、理性的)→ヘーゲル哲学(人間が理性的なときは人間共同体と理性は対立しない)→アメリカ
関曠野『プラトンと資本主義』
非西洋の人にとって西洋化とはプラトン化である。
西欧社会は本質的に合理的・論理的というわけではない。
西洋の中で、特殊な人たちによって論理的思考の使い方が工夫された。
=西欧のブルジョワジーたちが社会を統合する原理として用いた。
良い文章とは?
西欧の伝統における良い文章:合理的、論理的、エンジニアリングの手法に似ている。きちんとアウトラインが作れる文章。
①何を書きたいか考える(問題は何か)
②書きたいことを表現する抽象的形式を見つける(解決方法は何か)
③ ②を文章に表現する
日本語による良い文章
谷崎潤一郎と円谷才一の『文章読本』に触れたのち、向井敏の『文章読本』を取り上げて筆者は主張を展開している。
名文とはまず論理的なディスコースが成立している文章のこと。
日本語で論理的な文章を書くことは不可能ではない。
現代の日本語においても、良い文章を書く作業はエンジニアリングみたいなもの(アウトラインが作れる)
論理の流れ、ダイナミクスが要求される
筆者の疑問(次への導入)
伝えたいことはちゃんとアウトラインで表現できるのか?
書いてもメッセージはちゃんと伝わるか?
はみ出したことを言いたいときはどうする?
そもそも明晰な文章は良い文章なのだろうか?
→テキストに意見を現前させる(近代的なライティング)とはどういうことか?
<ヘーゲル・ニーチェ・ハイデッガー>難しい...
ニーチェ、ハイデッガー:起源となる真文(存在、解釈)が現前にあり、そして意味(文章)が生まれる。
デリダの批判:意味作用が成立するプロセスに疑問を投げかけていないと批判する。
ブリコラージュ(非論理的)vsエンジニアリング(論理的)というように対比・対立させるのがダメ(デリダ)
→二項対立のシステムを越えるにはデリダの抹消記号(×)の使用
<フェミニズム批評と男のディスコース>
二項対立のシステムを超えろ!
フェミニズム理論(批評)の展開(二項対立の克服の例として取り上げている。)
・第一期
・失われた女性の業績を男性社会に認めさせる
・第二期
・女性の立場からみた世界の成り立ちの正統性
・第三期
・現在の社会の構造の分析
脱構築の方法は秩序・構造を壊すだけではなく、再び人々が納得のいくシステムを作り出す動きも含んでいる。
<良い文章のイデオロギー>
アウトラインを操作しているうちに言いたいことが見つかる
言いたかったことを考える形式が見つかる
年季と勘が必要な職人的閃きや、きちんとした文章教育を受けた人間が頭の中で行える特権ではなく、文章の作成過程を目にみえるようにしたのがアウトライン・プロセッサー。
アウトライン・プロセッサーの利点は、論理的なディスコースを解体し、新たなディスコースを脱構築するための武器となるところ(論理的な文章を書くための道具としてではない)
次章への導入
アウトライン・プロセッサーで論理的なディスコースを作り上げるにはどうしたらいいか(実践編)?
感想
この章は内容が盛りだくさんだったという意味でまとめるのが大変だった。
アウトライン・プロセッサーは目に見える形で文章の解体と脱構築をするもの、という筆者の意図は分かった。
度文章を書いてから論理的構成を組み立てるのは真似したいものだ。
https://gyazo.com/f8b8e639ad1ffa23af2eb63098990d67
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他の方のまとめ
たやまりさんの図解
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